【後編】ゆうばり国際ファンタスティック映画祭/運営は、有志の市民とボランティア100人

2017.04.02

北海道夕張市

今年で27回目の開催となった、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭。大規模ながらアットホームで、映画関係者や市民、観客との距離が近いことが魅力です。その会場の様子などを2回にわたってお伝えする「後編」です。

夕張の冬を代表する一大イベント、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。この映画祭の特徴は、公開前のハリウッド映画や日本未公開映画、短編映画など、5日間の期間中に80〜100もの映画が上映されること。そして、コンパクトな街ゆえに、会場はもちろん会場外でも映画監督や俳優、市民、観客と至近距離での交流ができることです。

この映画祭を支えているのは、運営事務局スタッフと市民、そして100人の学生ボランティアたち。2017年の映画祭期間中、彼らはどのような思いを抱いていたのか、コメントをいただきました。

まずは学生ボランティアの皆さん。

「鈴木直道市長と鈴井貴之監督のトークショーで聞いた、「地方は制限が少なく自由な発想ができるから、新しい可能性を秘めている」という話が印象的でした。今まで自分とは関わりのなかった夕張だけど、これからは北海道民として夕張や北海道のことを考えたいと思いました」

「今回初めてボランティアとして映画祭に参加したのですが、こんなにおもしろい映画祭を夕張でやっているなんて、正直知りませんでした。日本でいち早く観られる映画もあるし、普段は間近で聞けないような監督の話も聞けるので、お金を出して来る価値があると思いました」

「僕は3回目の参加で、関西から来ました。地域の人が優しくて、いろんな方にお世話になっています。ご迷惑をおかけしても、「なんも、なんも」で済ましてくれる温かさがあるし、段取りが悪くても人の優しさで丸く収まるのが夕張の映画祭の魅力です。市民の手作りというのがすごくいいと思っています」

「初めて参加したのですが、地域の人が本当に温かく歓迎してくれて、そこがすごい魅力だと思いました。ボランティアの学生に対して、ここまでよくしてくれる人たちっていないんじゃないですかね」

「昨年に続いて2回目の参加です。この映画祭の良さは、住民の方が作り上げているから、とても温かいイベントになっていること。この盛り上がりを持続させて、映画祭以外でも盛り上がって欲しいです」

「今年は、市民の方と交流したいと思って、5日間フルで参加しました。今後の夕張について知るには、生の声を聞くのが一番です。本当は市の職員や市長とも話したいなと思っているけど、まだ実現していません(笑)」

「今回初めて参加して、夕張の人ってなんでこんなに優しいんだろうと感動しました。映画祭は名前だけ知っていて来たことはなかったので、もっといろんな人に知ってもらって体験して欲しいです」

「僕は地元が夕張です。地元に貢献したいと思って参加しました。学生だけでなく、地域の人も集まって一致団結できたらもっといいと思っています」

「映画関係者やクリエイティブな人に関わったことがなかったので新鮮でした。やらないとわからないこと、ここでしかできないことをもっと知ってもらいたいです」

「映画祭っていうと大規模なレッドカーペットのイメージだったけど、ここは監督も俳優もすごく身近でパーティーでも普通に会えるのがすごく面白かったです。市長のお話で、財政破綻の影響で映画祭が一時期途切れたと聞いたとき、こんなにも温かい町だからこそ、これからも続けてほしいと思ったし、私も参加し続けたいと思いました」

「これまで勝手に暗いイメージを持っていたけど、全然違っていました。おばあちゃんたちも元気で、自分も頑張らないといけないと思ったし、夕張の力になれるように成長したいと思いました」

続いて、市民ボランティアや運営スタッフの皆さん。

夕張青年会議所 小菅さん
「夕張が破綻したとき、市内外から「もう暮らせないんじゃないか」という話が出ました。その後は各地から、まるで発展途上国に送るような物資が届くなど、いろいろありました。あれから10年経って、市民は再生団体だからどうだとは思っていません。憐れみの目で見られることも減ったように感じます。もちろん、注目されるのはありがたいことですけどね。映画祭に関しては、高校生の頃から関わっているから、私にとって大切なイベントです。夕張の魅力の一つになっていますし、映画関係者の人にとって上映されることがステイタスになっているという話も聞きました。今後もずっと続けていきたいです」

司法書士・行政書士いまがわ事務所 今川さん
「私は札幌で司法書士をしていましたが、数年前に夕張で起業しました。理由は、札幌には司法書士がたくさんいますが、夕張にはいなかったから。専門的な領域がわからずに困っている人がいると聞いて、縁もゆかりもない夕張に移り住みました。映画祭は、小さな夕張に知らない人がたくさん集まる、年に一度のお祭りです。ただ、運営は市民の一部、いつものメンバーがほとんどなので、もっとたくさんの市民が参加して、みんなで楽しみにするイベントにしたいと思っています」

夕張青年会議所 理事長 髙橋さん
「私は東日本大震災の被災者です。震災後、石巻から災害の少ない夕張に移住してきました。夕張は炭鉱の町だったため、炭鉱ごとに集落があり、それぞれに考え方が違っています。災害は少ないけど、いざというときに協力体制が取れるよう、オール夕張の考え方で盛り上げたいと考えています。映画祭は、2012年から関わっていますが、もっと地域を巻き込んで魅力を高め、市外からたくさんの人に来てもらえる映画祭にしたいですね。その可能性は十分あると思っています」

ネクスト夕張 中村さん
「映画祭は、夕張市という破綻した小さな街が1年に1回だけ開催している一大イベントです。市民が大きく減少している場所ですが、学生ボランティアや映画関係者を含め、5日で延べ1万5千人もいらっしゃいます。人口を超える人が集まるイベントだからこそ、関わる人すべてが楽しめるお祭りにしたい。参加してよかった、遊びに来てよかった、という満足感を持って帰ってもらって、また来年来てもらいたいですね。20年後、30年後に、財政破綻というワードが各地で常用語になったとき、夕張のことを忘れられてしまうのではなく、映画祭や夕張メロンなど、記憶に残り続ける街にしたいと思っています」

市民やボランティアの力によって毎年開催されている、世界に一つ、夕張ならではの映画祭。これからもずっと開催され続け、日本を代表する世界的な映画祭になって欲しいと思います。未体験の方は、ぜひ冬の夕張の冬に訪れて、忘れられない体験を味わってみてください。

(取材・文:田村朋美、写真:増山友寛)

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