日本の寄附文化が変わる! 佐賀県が取り組む、ふるさと納税を活用したNPO支援とは

2017.07.14

佐賀県

自分のふるさとや応援したい地域に使い道を指定して寄附をする「ふるさと納税」。佐賀県は、この制度を活用することで、NPO等の支援・誘致に取り組んでいます。この取り組みを推進する佐賀県庁の宮司さんと、佐賀県に拠点を構え、1型糖尿病の根治に向けた研究費助成をしている認定NPO法人日本IDDMネットワークの岩永さんにお話を聞きました。

※1型糖尿病患者さんのインタビューを含む動画は、本記事の最後からご覧いただけます。

NPOに新しい寄附の形

佐賀県  県民共働課 CSO活動支援担当 主事 宮司愛子さん

佐賀県 県民共働課 CSO活動支援担当 主事 宮司愛子さん

社会貢献度の高い活動をしているNPOなどの団体。しかし、素晴らしい活動をしていても、多くの団体が資金調達に課題を抱えているのが現状です。そこで佐賀県は、資金調達ツールとしてふるさと納税を活用してもらうことで、NPO等の非営利団体を支援しています。

具体的には、各団体が、ふるさと納税を通していただく寄附金で何をしたいのか、どんな活動をしているのかを紹介したページをふるさとチョイスに掲載し、共感者からの寄附を募ります。いただいた寄附の95%を指定された団体に県から交付し、活動に役立てていただいています。また、お礼の品を用意する場合は、各団体が趣向を凝らした品を用意。佐賀県はオーナーとして掲載権限を持つという仕組みで展開しているのです。

ふるさとチョイス内、NPO支援ページ

ふるさとチョイス内、NPO支援ページ

現在、この取り組みに参加しているのは、県内の約30団体。お互いにノウハウを共有しながら、自らの活動をどうPRしたら共感者を増やせるのか、資金を集められるのかを主体的に考えてもらい、自発の地域づくりを目指しています。

これに先駆けて挑戦し、成功事例を作ってくれたのが、認定NPO法人日本IDDMネットワークです。事例ができたことで他のNPO等も挑戦するようになり、県内に根付き始めました。最近では、設立したばかりの新しいNPOでも活動資金を集めることに成功し、交通の便が悪い地域での、高齢者送迎サービスが成り立つようになりました。

県外からもNPO等を誘致し、佐賀県を活性化

この仕組みを強みに、佐賀県では県外で活動されているNPOなどの団体誘致にも力を入れています。

児童養護施設の子どもたちの自立支援をサポートしているNPO法人ブリッジフォースマイルもその一つ。東京を中心に関東で活動をされていましたが、佐賀県にも拠点を構え、ふるさと納税を活用しながら資金を調達し、佐賀の子どもたちの自立支援をされています。

今後も、ふるさと納税を多くのNPO等の資金調達ツールのひとつとして活用してもらうことで、ご活躍いただきたいと考えています。

1型糖尿病を治る病気にするために

日本IDDMネットワーク 副理事長 兼 事務局長 岩永幸三

日本IDDMネットワーク 副理事長 兼 事務局長 岩永幸三

私たちは、1型糖尿病の根治に向けた研究支援等に取り組んでいるNPO法人です。1型糖尿病はなかなか聞きなれない言葉だと思いますが、一般的にイメージする糖尿病とは違います。これは、生活習慣に関係なく、ある日突然体内でインスリンが作られなくなってしまう難病。

子どものときに発症することが多く、発症してしまったら食事や運動、日常生活の多くの場面で制限が発生し、毎日4〜5回のインスリン注射をしないと生命の維持ができません。そして、現時点では“不治の病”のため、私たちはその病を治る病気にするための活動をしています。

救う、つなぐ、解決する

私たちの取り組みは、「救う」「つなぐ」「解決する」の3つ。

「救う」とは、1型糖尿病患者とその家族をいかに救うか。子どもが小さい頃に発症し、医者から「一生治らない、ずっと注射を打たないといけない」という宣告をされた家族が受ける絶望感は、計り知れないものです。

しかも、発症数が少ないため情報も少ない。そこで、発症初期に必要な正しい情報やグッズを届けることで、特に自分を責めてしまうお母さんたちを救い、患者も家族も希望を持って、この病と共に生きる活動に取り組んでいます。

次に「つなぐ」とは、患者・家族と行政や企業、研究者、医療者をつないでいくこと。患者・家族だけの活動ではなく、あらゆる機関と一緒になって病気に立ち向かうことが大切で、私たちはそのつなぎ役を担っています。

最後に「解決する」とは、治る病気にすること。2025年に、1型糖尿病を治す方法が一つでもできることを目指して、研究費助成に力を入れています。

ふるさと納税は日本の寄附文化を変える

佐賀県の、「ふるさと納税を活用したNPO支援」の仕組みは、私たち県内のNPOの中でも、ほとんど知られていませんでした。東京の方に、「佐賀県にはこんなにいい制度があるのに、なんで使わないの?」と言われ、それなら試してみようと、平成26年度から取り組んでみることにしました。

早速、自分たちの活動を詳しく記載したページをふるさとチョイスに掲載。すると、驚くことに1000万円を超える寄附が集まったのです。これはすごい手段だと思い、現在本格的に活用しています。

ふるさと納税の制度ができるまでは、いくら「寄附をしてください」と訴えても、多額の経費を使って広告を出しても、思うように寄附が集まることはなく、年間数百万円集まればいい方でした。ところが、ふるさと納税の制度を活用したことで、桁違いの寄附を集められるようになりました。

これまでの3年間で、ふるさと納税によっていただいた寄附は、なんと約2億円。それを研究費に充てることで、今までバラバラに研究をしていた、国立国際医療研究センター、福岡大学、明治大学、京都府立大学のさまざまな学部の研究者の方々をつなぎ、一つの国産プロジェクト「バイオ人工膵島(すいとう)移植」を進められるようになりました。

国立国際医療研究センターの春日前総長は「ふるさと納税は、日本の寄附文化を変える」と仰っていますし、日本初の膵島移植医である松本先生も「ふるさと納税によって、1型糖尿病は根治に向けて一気に加速する。画期的な手法だ」と仰っています。私も、ふるさと納税は日本の寄附文化を大きく変える手段だと確信していますし、心から感謝しています。

ふるさと納税によって、「1型糖尿病の根治」という私たちの願いが、一気に現実味を帯びてきました。2025年までに、まずは一つ、治す技術を確立させ、不治の病ではなくなったとき、長い年月を一緒に闘ってきた皆さんと、祝杯をあげたいと思っています。

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